知財コラム①

~日本国外特許の全文検索について~

 事務所や会社に勤めているといろいろな特許検索DBがあるため、これまであまり気にしていなかったことだが、いざ、先行技術調査のために、自分がDBを契約して使うとなると、数多あるDBの中からコスパと使い勝手が良いものを選ぶとなると、容易ではないことを実感した。というのも、公開公報を対象とした先行技術調査は、公報の全文を検索対象としなければならず、日本語または英語で書かれたものならばともかく、それ以外の言語で記載された公報の文言をどのようにヒットさせるかに苦心することになるからだ。要するに、日本語または英語で書かれた公報の全文検索は、対応するDBが国内にあるからよいが、例えば、中国のみで出願された中国語の公報の全文検索はどうするのか?ということである。

 そもそも、その国だけでしか出願されていない発明を先行技術の対象とする必要があるか?という問題はあるが、技術のカテゴリーによってはマイナー国(本国)だけの出願ということもあり得るし、何より「先行技術調査をやります」と言ったら、対象国を限定する合意をしない限り、建前上、いや特許法上、どんな小さな国の出願の公報でもその全文を検索の対象としなければならない(実際には対象国を限定する契約をすることが多いのではあるが…)。

 以上の観点で、1つのDBでそんなことができるものがあるのか?という疑問も含めて、市場にある利用可能なDBを以下にまとめてみた。

DB名全文検索の範囲詳細
Derwent Innovation言わずと知れた最大手・老舗DB、料金は、言い値で他のDBに比べて抜群に高い。
Derwentは、3つのDBで構成されているとのこと(2019年11月の資料より)。①Global Patent Data ②INPADOC/DOCDB ③DWPI である。ここで②と③は、要約レベルの公報データで、②はEPOが作っているもの、③はDerwentが独自に作成したものである。この③のDWPIがなんと言ってもDerwentの特色であり、使えるのかどうかは置いておいて、これがDerwentの利用料が高い理由の1つと言える。
それで残る①が、公報全文を含んだDBというわけで、原文とその原文を2~3週間かけて翻訳した英文が収録されているとのこと。原文というのは、各国の特許を司る機関から入手した公報データであるはずで、それを機械翻訳して、人手で修正したものが英文データということであろう。
各国の公報全文データを英訳して収録
21カ国英語全文情報収録→2020前半までに75カ国に拡大

※以上、いずれも2019年11月の資料に記載の情報であり、21カ国の詳細不明で、また、75カ国の詳細も不明、かつ本当に拡大したのかも不明
Google Patents以下の国(庁)発行の原文および英訳された全文データを収録(無料)
米国、欧州特許庁(EPO)、中国、ドイツ、カナダ、WIPO、日本、韓国、イギリス、スペイン、フランス、ベルギー、ロシア、オランダ、フィンランド、デンマーク、ルクセンブルク
すべての国でチェックはできていないが、英語キーワードによる全文テキスト検索は可能であるもよう。
WIPO Patent ScopeWO(PCT国際出願)+71ヶ国の原文と英文を収録(無料)。英語以外の原文はタイトル・要約のみ英訳されている。その他の項目は、Patent Scopeの翻訳機能により英訳が可能。国によっては原文だけの収録しかないものがある。そのため、全文テキスト検索ができる範囲は限られる。
Japio-GPG/FX全文を日本語と英語で横断的に一度に検索できる(1ID:33000円/月)。検索できる国/地域・機関は以下の通り。
日本、米国、EPO、中国、韓国、WIPO、ドイツ、フランス、イギリス、台湾
以下、HP上での説明文(そのまま)。
「Japioが特許公報を収集した国や地域、機関の公報全文、および、DOCDBに含まれる世界の特許情報を、中国語などの公報記載言語に加え、機械翻訳技術を活用して翻訳した日本語と英語で横断的に一度に検索できるようにしたサービスです。」
PatBase77か国のフルテキストデータ収録」と記載あり(有料 都度見積り)。77か国の詳細不明。また、どの言語で全文検索ができるのか不明(おそらく英語)。
TotalPatent24カ国のフルテキストデータを含む特許情報は、英語で横断検索することが可能です。」との記載あり(有料 都度見積り)。
JP-NET1ID :8000円/月(日本)、5000円/月(海外)
全文収録国は以下(JPDSのHPより)
日本、米国、EPO、中国、韓国、WIPO、ドイツ、フランス、イギリス、台湾、インド、ロシア

 他にも大手企業のDBや新興のPatsnapなども調べてみたが、全文収録国が不明であるか以上に挙げたDBの対象国数を上回るものは、今回調べた限りでは見当たらなかった。そうすると以上のDBのいずれかを組み合わせて使うこととなりそうである。

 しかし、以上に挙げたDB以外に、通常、一般人は使用できないが、最強と目されるDBがある。それは「審査官端末」である。これのデータソースも気になるところでもあるし、何せ自分では使用した経験がないので、次回は実際に使用してみた感想や関連する情報について書いてみたいと思う。

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